せんき薬師とは
「せんき薬師」は真言宗智山派(総本山・智積院)に属し、正式名
『日出山 西福院 せんき薬師』
と称する、約500年の歴史をもつ真言密教のご祈祷寺院です。
開創(お寺の開かれた時期)
江戸時代初期・寛文年間頃とも約500年前とも云われています。
開基(お寺を開いたお方)
第一世法印・天阿上人(日雄)
ご本尊は、身体や心の病氣平癒に霊験あらたかな薬師如来(通称・お薬師さま)です。
「せんき薬師」は、古よりさまざまな病氣平癒に霊験があり、亡き赤ちゃんの為に幸せの水子供養を行い、「おせんきさん」の名称で親しまれ、多くの皆さまにお参りいただいております。
ごあいさつ
ご縁に感謝申し上げます
私は「真言宗智山派(しんごんしゅうちさんは)せんき薬師 西福院」の第二十九世住職の吉田承峰(よしだしょうほう)と申します。
この度、皆様とお薬師さまが結ばれますご縁に、心より感謝申し上げます。
私自身、何度かの入院生活や手術経験もあり、がんを患った身内や大切な方もおり、病氣の痛さや辛さ苦しさ不安も感じてきました。
病氣と向かい合うご本人やそのご家族皆様と共に辛さ苦しさ不安を分かち合い、これからの素晴らしい人生を踏み出す第一歩を、共に前を向いて歩んで行きたいと日夜務めております。
是非ともお寺に足をお運びいただき、どうぞ心静かにお薬師さまに手を合わせてみてください。必ずや心に響く何かを感じていただけるものと信じて、日々全身全霊でお薬師さまと、ご縁の皆さまに向き合せていただいております。
せんき伝説
約500年くらい前(または江戸初期頃)に、この地域に「せんき(せん痛)」という病に長年患い苦しむ村人がいました。
ある時、全国を修行しながら回っている修行僧がこの地に逗留し、僧はその村人の病気が良くなるようにと、僧の念持仏(修行僧が常に携帯する小さな仏像、当寺ご本尊薬師如来胎内仏)を祀り、病気平癒をご祈願されました。
村人は季節の花や野菜果物をお供えし、来る日も来る日も毎日、僧と共にご祈祷し続けました。しばらくすると、いつしか村人の病はすっかり良くなっていた。
その不思議な霊験談が人から人へ、口から口へと伝え広がり、さまざまな病気にご利益があり、病気平癒・がん封じのお薬師さま「おせんきさん」として、全国から老若男女がお参りされるようになりました。
薬師如来とは
「せんき薬師」のご本尊さまは、薬師瑠璃光如来(お薬師さま)です。正式名は、東方浄瑠璃浄土教主薬師瑠璃光如来といいます。
応病与薬(病に応じて薬を与える)、抜苦与楽(苦を除いて安心を与える)の仏さまであり、別名を大医王尊とか、瑠璃光尊ともいわれます。
お薬師さまが叶えられた「薬師十二大願」の特に六番目と七番目の大願が特に有名で、私たちに霊験ご利益を与えてくれています。
そして、お薬師さまには、その活動を補佐する脇侍(わきじ)である、日光菩薩と月光菩薩がいらっしゃり、薬師三尊といわれます。
・日光菩薩は、日中の私たちを守護してくれています。
・月光菩薩は、夜間の私たちを守護してくれています。
お薬師さまは、この世に生きている私たちの身体や心の病気、苦しみ、災難をこの世で救っていただける、現世利益の仏さまです。
また、お薬師さまは亡き人、亡き赤ちゃんを仏様の世界にへ導き、その幸せをずっと見守って下さる仏さまでもあります。
薬師如来の十二大願
お薬師さまは、仏になる前の修行時代に、この十二の誓いを立てられ、このすべての願いを叶え薬師如来になられました。
「薬師瑠璃光如来本願功徳経」より
第 1 願
光 明 普 照(こうみょうふしょう)
《すべての人々を悟らせるという願い。》
第 2 願
随 意 成 弁(ずいいじょうべん)
《すべての人々の意の赴くところにしがって諸々の事業を成就させるという願い。》
第 3 願
施 無 尽 仏(せむじんぶつ)
《すべての人々の願いを叶え、必要なものを手に入れ豊かにするという願い。》
第 4 願
安 立 大 乗(あんりつだいじょう)
《すべての人々の悟りを確立させ、仏の正しい教えに導くという願い。》
第 5 願
具 戒 清 浄(ぐかいしょうじょう)
《すべての人々を日々精進させるともに、善行を促すという願い。》
第 6 願
諸 根 具 足(しょこんぐそく)
《身心不調の病苦にある人々も、貧窮多苦の人々も、迷いを生ずる原因をすべて消滅させる願い。》
第 7 願
除 病 安 楽(じょびょうあんらく)
《すべての人々の病苦を完治し除き、心身ともに安楽にするという願い。》
第 8 願
転 女 得 仏(てんじょとくぶつ)
《女性的な優しさだけでなく力と勇気を得るという願い。》
第 9 願
安 立 正 見(あんりつしょうけん)
《すべての人々を悟りの妨げをなす魔から救い、健全な精神を得るという願い。》
第 10 願
苦 悩 解 脱(くのうげだつ)
《すべての人々の苦悩や災難をことごとく消滅させるという願い。》
第11願
飲 食 安 楽(おんじきあんらく)
《すべての人々が飢えや渇きに苦しむことがないようにする願い。》
第12願
美 衣 満 足(びいまんそく)
《すべての人々に衣服を与え、心慰めるものを与えて満足させる願い。》
【せんき】とは
「せんき」は「疝気」と書きます。
漢方では、「せんき」は現代医学以前の病名で〈せん痛〉とも言われ、その当時では診断できない腹部臓器の疾患の俗称であり、単に〈疝〉とか〈あたはら〉ともいわれていたそうです。
「せんき」に関する病気に「疝気筋(せんきすじ)」という、疝気の時に痛むスジや筋肉の病などもあり、疝気筋によって腹部や背中の神経痛のような病もあります。
このように、「せんき」の意味に諸説あるようですが、当寺に伝わる「せんき」の内容として、腹部の痛みや、全身の筋(スジ)や腺(せん)に関する病気{神経痛、リューマチ、肩・腰・足痛、脱腸等}をいい、それらの病にに特に霊験とご利益のあるお薬師さまです。
近年は、「せんき」が筋(スジ)や腺(せん)の病に当たることから、私たちの二人に一人が罹り、三人に一人がなくなるとされる、がんや悪性腫瘍に関するご祈祷を受けられるご祈願者様が大変多くなり、皆さんお薬師さまのお力をいただきながら、病に向かい合い、身体は病気でも、心豊かに人生を精力的にご活躍されています。
また、下腹部へのご利益から、赤ちゃんを授かりたい方の子授け祈祷、無事元気な子が生まれるように願う安産祈祷、命名のご依頼や、初参り祈祷の方々にもお参りいただいています。
大切なこと
私たちは毎日のなかで、辛いこと、苦しいことばかりが気になり、目を向けてはいないでしょうか?
嬉しいことや楽しいこと、ありがたいことをに気付かず、見逃してないでしょうか?
その気持ちを家族や仲間、大切な人と分かち合っていますか?
誰かに何かをしてもらって、嬉しかったように、自分も誰かの力になれていますか?
誰かが嬉しかったり、楽しかったり、感動している時に、自分も一緒に感じていますか?
何か力になりたい人はいますか?
そして、力になるために、何かしていますか?
でも今は、その余裕がないかもしれません。
ぜひ、お薬師さまにお参りいただき、一心に手を合わせお祈り下さい。手を合わせ祈ることで、これまでの自分を振り返り、見つめ直すことができ、それがより深い霊験ご利益を授かることに通じ、
”今”を大切に生きる道につながります。